- 渡邊先生の
ワンポイントレッスン - Lesson 1
「ダンスドリル競技に多い傷害等について」 - Lesson 2
「ケガと障害の予防」 - Lesson 3
「夏季のスポーツ活動での注意事項」 - Lesson 4
「ダンスが上手くなる身体作り」
〜良い姿勢でダンスを踊ろう !!〜
Lesson 3
「夏季のスポーツ活動での注意事項」
夏本番のこの時季、特に注意しなければならないのは熱中症です。
全国大会はもちろん、各地区大会においても必ず熱中症は発症しています。
各大会前のオープニングセレモニーに於いて注意をアナウンスしても発症しているのが現実です。
また、発症するのは選手だけではなく、観客も発症する事があります。
熱中症の症状として、頭痛、吐き気、めまい等ですが、重症になると脱水症状や痙攣(けいれん)、意識不明等、重篤では死亡するケースもあります。
原因としては、水分不足です。
熱中症の予防法
? 水分をこまめに摂る
- ・体温を下げるために汗をかくのには水分が必要です。
- ・運動中は水分を定期的に補給、のどが渇いたと思った時点では遅いので、こまめに(30分毎に約250ml)補給する事。
- ・普段の生活でも30分ごとに1口2口飲むと良いです。
- ・運動中の飲料は、スポーツドリンクがおすすめです。
お茶は利尿作用があり体内に水分が取り込めないので良くありません。水でも構いませんが、塩分が無いのでやはりスポーツドリンクが良いです。スポーツドリンクは甘いものが多いので水で薄めても構いません。 - ・一度にたくさん飲むと体内に取り込めないので、少量ずつ飲んで下さい。
? スポーツや生活環境の気温に注意する。
- ・たとえスポーツを行っていなくても高温環境では熱中症が発症し易いので、活動する環境の温度管理が重要です。エアコンがない練習環境が大半だと思いますので、窓、ドアを開けて風通しを良くする事を心がけて下さい。
? 早めに休息を取る。
- ・スポーツを行っていて、少しでも気分が悪いなど体調不良の時は我慢をせず早めに休息して下さい。
熱中症が疑われる時は、少しでも風通しのよい場所に寝かせ、体温を計測後にアイシングを行って下さい。体温を下げる事が重要ですので、氷のアイスパックを両方の脇の下、首の両側に当てて下さい。氷が無い場合は水を体にかけます。また、衣服の風通しを良くし、水分を少しずつ飲ませます。 - ・上記の処置で改善しなかったり、体温上昇や手足の緊張、けいれん、自力で水分が飲めなかったり、意識がはっきりしなくなったら119コールとなります。
? その他、注意すべき事
- ・食事、睡眠をシッカリと摂ること。
基本的な事ですが、1日3食、特に朝食はシッカリと摂る事が重要です。 - ・汗をかいたらウェア(ソックスも含めて)を取り換える習慣を。足部の発汗量はかなりありますので、ソックスとシューズの摩擦により足底や足趾の皮膚がふやけて皮膚や時に足底筋にも悪影響を及ぼします。
- ・熱中症は夏季だけではなく冬季でも稀に発症します。
- ・夏季の就寝中一晩で約500mlの発汗が有りますし、冬季でも約一晩で300mlの発汗がありますので、お風呂上り、就寝前、起床時の水分補給は必要です。
? 大会前における注意事項
全国大会に向けて各学校の選手達は演技の完成度を少しでも上げるべく頑張っていることと思います。
しかし、夏はダンスに限らずどんなスポーツを行うのにも大変辛い季節です。特に大会直前のこの時期ではどの選手も身体疲労はピークと言っていいでしょう。
また、夏休みに入っていますので、普段より練習時間が取れることもあり、少しでも完成度を上げるためにかなり無理をしているのではないでしょうか。
このような状況ではケガや障害が非常に発生しやすくなります。この時期だからこそ、ストレッチやアイシングなどの基本的な日々のケアが大変重要になってきます。理想的なのは、練習後約40分かけて丁寧にストレッチを行うことです。そして、痛みが無くても、筋疲労を感じたらアイシングをします。少しでも早く身体疲労を回復させるために演技の練習を練習時間ギリギリまでせず、早めに終えて選手全員でストレッチを行う努力が必要です。
また、日々の食事内容にも疲労回復物質を多く含んだ食品を摂るようにして下さい。
例えば、肉類でも豚肉の方が牛肉よりビタミンB群が豊富なので、疲労回復には良いです。鳥肉はもも肉より胸肉の方が疲労回復物質を多く含まれています。大豆製品、緑黄色野菜、果物などが良いですし、柑橘系のジュースも良いです。