- 渡邊先生の
ワンポイントレッスン - Lesson 1
「ダンスドリル競技に多い傷害等について」 - Lesson 2
「ケガと障害の予防」 - Lesson 3
「夏季のスポーツ活動での注意事項」 - Lesson 4
「ダンスが上手くなる身体作り」
〜良い姿勢でダンスを踊ろう !!〜
Lesson 1
「ダンスドリル競技に多い傷害等について」
大会中における受診者の傾向
私は約15年ダンス競技の傷害に携わってきました。
傾向として傷害発生部位は下肢(下半身)が上肢(上半身)より多く、ダンスのカテゴリーや時期的にも相違があります。部位としては、足部、下腿、膝、大腿、股関節、腰部が多く、肩、首、肘といった上肢は比較的に少ない傾向です。
毎年夏季に開催されるドリル日本大会での救護ブースに受診した選手数は約60人平均で、その内の10%が大会当日の演技中やウォーミングアップ中の傷害です。また、大会当日までの1週間以内の傷害も10%います。
救護ブース受診者の80%が傷害をかかえての大会参加となっています。
こうした選手達は、傷害が日々の練習により治る暇が無く、痛みや障害があっても練習があるために治療に行く時間が無く(作らず)、痛みを我慢して日々の練習を行っている状況です。
傷害の多くは、日々の練習前・後のウォーミングアップやストレッチ、アイシング等のケアを十分行っていれば傷害を防げたケースが非常に多いという事です。
多発するケガや障害
足関節捻挫 | 靭帯(ジンタイ)損傷で非常に多く、ジャンプの着地やターンでの転倒等で多い。 | 足底腱膜炎 | 足裏、踵(カカト)?土ふまずの痛み。土ふまず(アーチ)が少ない足に起こり易い。 | アキレス腱炎 | 踵とアキレス腱部の痛みで、炎症が起こります。 | シンスプリント | 内踝(ウチクルブシ)から脛骨(スネ)の内側にかけての痛みで骨膜の炎症を伴い、土踏まずが(アーチ)が少ない足に多くみられます。 | 腓腹筋損傷 | ふくらはぎの肉ばなれ。筋肉の損傷よりも筋膜損傷が多い。ストレッチ不足やジャンプ系で多い。 | 膝蓋腱炎 | 膝蓋骨の下の腱の炎症で、ジャンパーズニーとも言われ、ジャンプ系だけではなく大腿四頭筋(ももの前の筋肉)のストレッチ不足でもあり。 | 鵞足炎(ガソクエン) | 膝の内側下、脛の上端の痛みで、ハムストリング(大腿の後ろの筋肉が硬かったりストレッチ不足で起こる。 | 膝関節捻挫 | 前・後十字靭帯損傷、内・外側副靭帯損傷、半月板損傷などがあり重症の場合は手術の事もあり。 | ハムストリング損傷 (大腿裏の膝を曲げる筋肉の損傷) | 骨盤から膝まである長い筋肉が数本あり、その筋肉の肉ばなれ。壁で足あげストレッチで押してもらう時は要注意。伸ばしすぎで逆に痛めてしまう事あり。 | 股関節周囲の傷害 | キックやライン、ジャンプで必要な足を上げる筋肉が骨盤付く付着部の傷害で、トゥタッチやラインダンスで痛む。 | 腰部痛 | いわゆるギックリ腰を代表とする腰痛。腰痛の種類は多々あり、中でも多いのは、仙腸関節障害と言って、背骨の下の仙骨と骨盤の関節が原因の痛みが多く、ヘルニアは稀です。 | 背部痛 | 脊椎の関節障害 |
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正しいストレッチの仕方!
ケガを起こさないために大事なことは正しいストレッチを入念に行う事です。
しかし、皆さんが普段行っているストレッチは方法が間違っているケースが多く見受けられます。
日々の練習時に行うアップやストレッチですが、順番として必ずウォーミングアップを先に行い、体を温めてからストレッチを行って下さい。
体が冷えている時は筋肉も硬く伸びにくい状態ですので、ムリに伸ばすと筋線維を痛め、逆に傷害を起こしてしまいます。また、練習後のクールダウンでのストレッチは非常に重要ですので、練習前よりも出来れば入念に行って下さい。
強く乱暴に痛いのを我慢させ伸ばすのも厳禁です。ジックリと丁寧に回数よりも質で痛いところで止めて行って下さい。
また、ストレッチを行う際は必ず2人1組の「ペアストレッチ」も行ってください。
今回は特に傷害の多い「股関節周囲のストレッチ」についてご紹介します。
股関節周囲のストレッチ1
股関節周囲のストレッチ2
股関節周囲のストレッチ3