Lesson 4
ダンスが上手くなる身体作り
〜良い姿勢でダンスを踊ろう !!〜

今回は、姿勢について述べます。

選手に限らず姿勢の良く無い猫背ぎみな身体をよく見かけます。身体を横から見ると背中が丸まって首が肩より前に出ているケースです。
どんなに演技が上手くても姿勢が悪ければ観ていて気になりますし、演技そのものにも悪影響が出ます。
気がつくと猫背になっていて、その時だけ背筋を伸ばしても無意味ですし、常に背筋を意識して伸ばしている事は不可能です。

また、良い姿勢を保つためには、脊柱(背骨)生理的弯曲を取り戻し正しい位置で曲がるようにする事やインナーマッスル(深層筋)のトレーニングが必要ですし、また、身体を支える足(脚)が不安定であれば上半身に悪影響を及ぼしますので、足部の安定を図る事も非常に大切です。
重要な事は、人間の身体のどこかが悪いとその負担が必ず他の部位へ悪影響を及ぼすという事です。

良い姿勢でダンスを踊るのに重要な事は

  • ? 背骨の柔軟性や弯曲を改善する
  • ? ダンスに必要なインナー及びアウターマッスルを鍛える
  • ? 姿勢は足元から

  • それぞれ説明しますと、

    ? 背骨の柔軟性や弯曲を改善する

    背骨の柔軟性を改善し姿勢を良くするのには、McKENZIE運動療法(マッケンジー)を行います。
    このマッケンジー運動は、脊柱(背骨)の首や腰の後ろへ曲がる位置を正しくすると共に肩こりや腰痛の予防や治療にもなる大変重要な運動療法です。

    ? ダンスに必要なインナー及びアウターマッスルを鍛る

    鍛えやすいアウターマッスルと特に体幹のインナーマッスルを鍛えて姿勢や関節位置の安定を図り動作の調整能力を向上させます。

    ? 姿勢は足元から

    足元というのは、足関節以下の事で足首が不安定だと不安定を補うために膝、腰、背骨に悪影響(代償)を及ぼします。
    普段からルーズなシューズではなくシッカリとしたシューズを履く事は大変重要です。

    McKENZIE運動療法 (マッケンジー)

    猫背を改善してキレイな姿勢でダンスをするのにはどうしたら良いか?

    姿勢腰痛や肩こりの有無に関わらず、ダンスを行っている選手の脊柱の弯曲度や曲がるポイントをチェックすると、多くの選手達が正常な脊柱の弯曲が無かったり、首や腰の曲がる位置が違っているケースが非常に多く見受けられます。
    具体的には脊柱の生理的な弯曲(横から見てS字様)が無く、Sと言う字を上下から引っ張った伸びたS字、もしくはほとんどカーブが無くストレートな状態で、首や腰が理想的な本来の位置よりやや高い位置が支点として後ろに反る事が非常に多いのが現状です。
    これを改善し腰痛予防や腰痛に対しても大変効果のある体操療法がマッケンジーで、特に仙腸関節(背骨の下の仙骨と骨盤の腸骨との関節)が原因の腰痛に大変効果が有ります。
    うつ伏せに寝て、両手を床について上半身を反る体操です。腰椎の後ろ(背中側)方向の動きを良くすることによって、脊柱の弯曲を回復させ脊柱を生理的に正しい姿勢にするための運動です。

    日常生活においては前かがみの姿勢や運動が多いため、腰椎の前への動きは良くなりますが、反対に後ろへ反らす事が少ないために、腰椎の後ろへ動く範囲が少なくなってしまいます。このために脊柱の下の正常な位置から反らす事が出来なくなり、腰のやや高い位置を支点として後ろに反る事になります。これは仙腸関節の動く範囲が少ないためです。
    仙腸関節この仙腸関節の後ろ方向に動かない状態で腰を急に反らしたりすると、仙腸関節がムリに動いてしまい痛みが発生します。また、前かがみの姿勢が多いと腰の筋肉で上体を支えるので筋肉に負担がかかり筋肉性の腰痛の原因にもなります。
    腰を反らした時に腰椎のどの位置から動いているか、どの位置を支点として反れているかは重要で、理想的なのは左右の骨盤をむすんだ線から反れますが、仙腸関節の後ろへの動きが少ない場合は、左右の骨盤をむすんだ線よりも上位で反れる傾向です。
    腰椎の生理的弯曲は、前方(おなか側)に凸(前弯)ですが、仙腸関節の動きが少ない場合の前弯は少なくほぼまっすぐな事が多く横からみて、L字様に下で曲がっている事が多いです。
    動く範囲が少ない仙腸関節が急に動いてしまうため痛みが発生する事が多いので、普段から上体を後ろへ反らす事を多くする事によって仙腸関節の動く範囲を広げる事が腰痛の予防に繋がります。マッケンジー運動を行う事によって腰が正しい位置で後ろに反る様になり、脊柱の弯曲も回復して腰痛の発生しにくい腰にする事ができます。

    マッケンジー運動1?うつ伏せの姿勢から、手の平を床につけて上体を持ち上げる。その姿勢を5秒キープします。5秒×10回。慣れてきたら10秒×10回にして下さい。理想的なのは、10秒×10回を、1日に3?4回行うと良いですが、実際には困難でしょう。日々の練習時のストレッチの際にこの体操を取り入れると良いでしょう。
    また入浴後には必ず行い、痛みや違和感などがある場合にはアイシングを行って下さい。

    マッケンジー運動2?ギックリ腰など急激な痛みが発生した時にも有効で、その場合は、うつ伏せの姿勢でアイシングを15分行います。うつ伏せの姿勢で痛みが強くなるようであれば横向きに寝て下さい。この場合はマッケンジー療法を行わないで下さい。大丈夫であれば、アイシング後に肘を床について上体を支え、キープ(5?10分)します。この上体で痛みやしびれが出た時は中止して下さい。

    ?肘で支えて痛みが出なければ次に肘を伸ばし手のひらを床について上体を支えます。2?3秒支えうつ伏せに戻ります。これを約10回繰り返します。痛みが強くなれば中止して下さい。

    ?次に歩いて下さい。歩くと仙腸関節の血行が良くなります。

    仙腸関節は前かがみの姿勢で関節がゆるみ、後ろへ反らすと関節が締ります。
    椅子に座っている姿勢は最も関節がゆるみ負担がかかりますので、長時間の座位の時は約30分ごとに立ち上がり腰を後ろへ反らして下さい。
    学校での授業や電車などで立ち上がる事が出来ない場合は、座位のまま可能なかぎり上体を前かがみにしたり、腰を後ろへ反らすようにして下さい。また長時間の椅子に座っていて立ち上がる時は、一度腰を後ろへ反らしてから(関節を締めてから)立ち上がる習慣をつけましょう。
    長時間座っていると関節がゆるんだ上体で立ち上がる事になりますので、関節に負担がかかり痛みが出やすくなります。
    仙腸関節が原因の痛みの場合は、歩いたり体を軽く動かした方が痛みの改善する事が多いので痛みが出たらまず約10分歩いてみて下さい。痛みが出たら中止します。

    頸椎以上は腰部に対しての療法ですが、マッケンジーは頸椎(首の骨)に対しても大変有効です。
    正常な頸椎は7個有り、横から見て前方(喉、顔側)凸の生理的な弯曲(前弯)となっていますが、ほとんどの場合は前方凸の弯曲は無くほぼまっすぐなストレートネックが大変多く見られます。
    また、首を後ろに倒した時に下位頸椎(5?6番目)を支点として動きますが、下位頸椎の動きが少なく、4?5番の頸椎を支点として動くケースが大変多いです。こうしたケースでは、首の付け根や背中が丸くなり横から見て首が肩より前に出た猫背になる傾向です。
    特に肩甲骨の間の胸椎は首や腰ほど動きませんのでより柔軟性が無くなるので筋肉が緊張し肩こりの原因の一つとなります。

    首の後ろへ曲がる位置を正しくし姿勢を良くするための方法(運動療法)を説明します。
    マッケンジー運動2ベッド等に仰向けに寝て頭をベッドの端から垂らします。
    頭だけでなく両肩を出して下さい。
    その姿勢を20秒キープ。それを3回?4回/日行います。
    首を後ろへ反らす運動だけでは下位頸椎が動きませんので姿勢改善や腰痛予防、肩こり予防のために腰のマッケンジーと併せて行って下さい。