Lesson 2
「ケガと障害の予防」

ストレッチ

今回は、日々の練習に欠かせないウォーミングアップ、ストレッチについて述べます。

Lesson1でも述べたように、必ずウォーミングアップをストレッチの前に行って下さい。
限られた練習時間でアップをするには、ランニングを5分、その後にダンスやバレエの基礎ステップを10分位行うと良いでしょう。練習場所や天候の事もあり、ランニングが出来ない場合は縄跳びも効果的です。
十分に身体が温まったら、ストレッチを行います。ストレッチはいろいろな種類、方法がありますが、最初はセルフストレッチ(自分一人で出来る範囲で行う)をしてから、ペアストレッチ(二人で行う)へ移行します。自分一人でのストレッチには限度があり、特に股関節やハムストリングなどはペアでないと十分にストレッチ出来ません。

注意しなければならないのは、練習前のストレッチのし過ぎです。長時間のストレッチは筋肉を伸ばし過ぎてしまい、筋肉の収縮率の低下を起こしますので良くありません。 時間にして、約20分。アップとストレッチで、35分。少なくともこれくらいの時間が必要となります。

しかし、現状は、限られた練習時間や練習場所の事もあり、また、少しでも演技の練習時間を多く取りたいために、アップやストレッチもそこそこに演技の練習を始めてしまっているのではないでしょうか。この傾向は、大会に近くなるに従って強くなります。そして、練習時間ギリギリまで演技の練習を行っていて、クールダウンもほとんどせず帰宅するのが現状でしょう。
帰宅すれば、空腹なので食事となり、その後、入浴、少し勉強 ? 就寝、このコースではないでしょうか。これでは、筋肉を使いっぱなしで疲労物質があまり吸収されずに翌日に持ち越され、硬い柔軟性の無い筋肉のまま練習に臨む事になります。練習すれば疲労物質が蓄積しますので、より柔軟性が無くなり炎症が起こり易くなります。従って障害も起こり易くなり、悪循環となります。

理想的なのは、練習後は練習前よりも入念に時間をかけてストレッチを行う事です。しかし現実は上記の如くですので、帰宅後真っ先にストレッチをし、入浴後に再度ストレッチを行って下さい。

ストレッチの時間をしっかり取りましょう

アイシング

練習中や練習後に痛みなどがあればアイシングを行って下さい。アイシングは痛みが無くても違和感や疲労感が有っても行うと効果的です。アイシングの言葉通り、冷やすのは氷で冷やして下さい。保冷剤は表面温度が低く低温やけどを起こし易いので使用しないで下さい。
ビニール袋に冷蔵庫の氷を入れて患部に当てて、タオルなどで押さえ圧迫を加え、なるべく心臓より高い位置で15分冷やして下さい。(腰などの心臓より高い位置に出来ない個所はそのままで構いません) これは、RICE処置と言います。

これはスポーツ医学界では現在、試合後や練習後のケアとして常識とされる処置です。
また、市販の湿布では効果が限られますので、氷の方がより効果的です。
このRICE処置を、痛みのある患部に(関節でも筋肉でも)行う事で、痛みや炎症の減少、または改善が見られます。痛みが無くても違和感や疲労感があればその部位に、RICE処置を行って下さい。
ケガをした時や痛みが強い場合は2回アイシングをして下さい。1回行ってから患部の皮膚温が通常に戻ったら(約2時間後)再度行いますとより効果が有ります。
特にケガをした直後のRICE処置は大変重要で、回復を早め、早期の治癒に繋がります。

選手の帰宅後のケア法で理想的なのは・・・

  • 通常の練習の場合は、帰宅直後にストレッチを行い、入浴後に再度ストレッチを行います。その後にRICE処置。前述の如く痛みが無くても違和感や疲労部位にも同様の処置を。
  • ケガした時や痛みが強い場合は、帰宅直後にRICE処置。その後(約2時間後)に入浴し(ケガした時や痛みが強い場合はシャワーのみ、温めない)、その後再度RICE処置を。
  • 練習中に痛みや違和感が出ても練習が終われば痛みが消失する場合もRICE処置を。

内転筋のストレッチ

中臀筋〜大腿外側の筋肉のストレッチ

ハムストリングス、ふくらはぎのストレッチ